新製品の開発事例
畑からそのまんま。いちご農家がおくるいちご好きのための「いちごづくし生活」
株式会社ながしお農場
2021年3月2日~4月25日
240,000円
601,500円(250%)
当社は、2014年に三田市にビニールハウスを建設し、いちごの栽培をスタートした。3年目となる2016年に観光農園を新規オープン。周りに何もない場所なので集客への不安もあったが、市内のアウトレットモールや食品工場見学などへの自動車の移動ルートと結びつき、順調に客足は伸びていった。
一方、観光農園の運営面では、当初は生産者としての意識が強かった。おいしいいちごを育てれば、いちご狩りができると考えており、接客も得意ではなかった。しかし、お客さんと接していくうちに、30分間のいちご狩りの中でいかにお客さんに満足してもらえるかが重要だと気付かされ、いちご狩りはサービス業であると意識が変化してきた。
いちごがおいしいのは当たり前、観光農園としてのしつらえと、心のこもった接客がそろうことで、楽しみと驚きが生まれる。このように意識が変わると、自然と来場者とのコミュニケーションも積極的となり、今では「ながしおさんに会いに来た」というお客さんも増えてきた。
いちご狩りにくるお客さんの目的はいろいろ。たとえばファミリーで遊びに来た親は、自分もいちごが好きだが、それ以上にいちご狩りを楽しむ子供たちを見て満足する。
相手に合わせた接客を心掛け、自分は感動の30分を演出するエンターテイナーであると自負する。記憶に残るながしお農場を目指して、日々サービスの向上を続けている。
農業の特性として、作物が生育するまで売上が立たないため、1年先の需要を見越して生産計画や資金計画を立てる必要がある。
コロナ禍による外出自粛が起こるとは、植え付けの時期には想像だにしなかった。いちご狩りの来場者の激減は、いちご栽培の先行投資が回収できないだけでなく、来シーズンの栽培資金にも影響を及ぼした。また農業者としては、せっかく育てたいちごを廃棄で無駄にしたくないという思いがなによりも強かった。
ながしお農場では、いちご狩り用に5つの品種を育てている。それぞれ収穫時期や味、食感が違うため、いちご狩りの訪問時期によって様々ないちごを楽しむことができる。
プロジェクトのリターンとして、いちご加工品の詰め合わせと生いちごのセットを選定した。ジャムやシリアル、アイスクリームなどの加工品は、極力シンプルなレシピにして、使う品種もアイテムごとに、いちごが一番おいしくなるバランスで配合している。
自分の畑で採れた材料で、形を変えて、自宅に場所が変わっても「畑からそのまんま」の楽しみと驚きを届けたい。これこそが、生産農家だからこそ提供できる体験である。
一日の中でも朝・昼・晩・寝る前と気分は変わる。その時々で楽しめるいちご加工品で、いちご生活を楽しんでもらいたい。いつ、どんな食べ方をするか、そして生いちごはどのタイミングで食べるか、ワクワクしながら一日を過ごしてほしい。
Makuakeに出品する商品は決まったものの、どのような切り口でプロジェクトページを表現するか決めかねていた。クラウドファンディングを行う目的として、単発の商品販売ではなく、長期的なファン顧客づくりに発展させたい。そのためには、他社には真似できない、ながしお農場オリジナルの魅力、つまりブランドが不可欠である。
農業界では、品種改良は日進月歩で、観光農園やオリジナル加工品に参入する農業者もどんどん増えている。外部環境が急速に進化する中、新商品開発のために、加工機械への高額な設備投資を続けることは、中小農業者には困難である。
お客さんにながしお農場のファンになってもらえるような自社のブランドとは何か、プロジェクトの打ち合わせを重ねた。社歴やいちご狩りへの姿勢、加工品へのこだわりなど、先述の内容を掘り下げていく中で、徐々に当社の本質的な魅力が見えてきた。
感動の30分を演出するエンターテイナー、永塩 有こそが自社にしかないブランドである。
「畑からそのまんま」、「感動の30分」を完成させるには永塩 有というキャラクターが、欠けてはならないピースである。永塩 有の接客を楽しんでくれるお客さんがいて、永塩 有に会いに来てくれるお客さんもいる。
つまり、永塩 有こそが、ながしお農場である。
プロジェクトページでは、永塩 有のキャラクターを前面に出すことで、WEB販売でもいちご狩りと同じ体験をしてもらうことを狙った。
一方で、自分で文章を書くと、思いが強すぎるため話がくどくなってしまう。そこで、第三者のライターによるインタビュー形式で文章を作成した。熱い思いは、客観的で冷静なフィルターに通すことで、心に響く文章へと洗練された。
プロジェクトページでは「コロナで困っているから助けて下さい」とは書かず、こんな時だからこそ楽しい新商品の提案を心掛けた。プロジェクトがスタートしてSNSで告知したところ、既存のお客さんやプライベートの知り合いから多くの応援メッセージが届いた。コロナ禍で皆が大変な中にもかかわらず、当社のことを気にかけてくれる人がいる。日頃会わない人とのつながりを実感できた。
お客さんからの応援を受け取ると同時に、プロジェクトページを通して自分の思いをしっかりと伝える事ができ、既存のお客さんとの関係性が深まった。そして、自分の思いに共感して応援購入してくれる新規のお客さんとの出会いもあった。「いちごづくし生活」という提案に、これだけのお客さんが応援購入してくれた結果は、「お客さんの生活の一部にながしお農場が関われる」という発見にも繋がった。
また、プロジェクトの企画・打ち合わせを進める中で、社内でも経営者の考えを共有する機会となった。
今回のクラウドファンディングで、ながしお農場が、多くの人たちと繋がっていることを再認識できた。コロナで困難な状況ではあるが、事業を継続する自覚と責任を新たにする事ができた。そして、皆さんに笑顔を届けられる農園であり続けたいとの思いがますます強まった。
コロナ禍をきっかけとする観光や購買行動の変化は、今後も続くと思われる。またコロナ禍の外出自粛によって、いちご狩りへの売上の依存度が高くなっていたことを反省できた。
今後は、いちご狩り農園の運営以外に、非対面式での販売方法やファンづくりにも対応していく必要がある。
モノを売るインターネット通販では作り手と買い手のコミュニケーションは生まれないが、Makuakeのクラウドファンディング(応援購入)では、作り手と買い手の思いが繋がった感覚がある。
いちご狩りに来られない遠方のお客さんも応援購入してくれた。WEBを活用した商圏拡大の期待値は大きい。作った人や環境に思いを巡らせながら食べてくれる、そんな発信の手法があることを今回のプロジェクトを通じて学んだ。WEB上でも、ながしお農場を感じられる新たな仕掛けを追求していきたい。
「畑からそのまんま」これは、ながしお農場のコンセプトです。また、観光客にいちご狩りを提供している永塩さんが大切にしているのは、「いかにして30分という限られた時間を満喫していただけるか」ということ。ここでしか味わえない喜びや楽しみを常に考えられています。この思いを軸にディレクションさせていただきました。
いちご狩りは食べるだけでなく、どれくらい食べようか、何と一緒に食べようかなどと思いを巡らせる「食べるまでの時間」も含めて楽しいものではないか。そういった体験をいちご農家である永塩さん自身が伝える。いちご好きのために日々考える。ながしお農場だからこその強みを活かしました。
「畑からそのまんま」これは、ながしお農場のコンセプトです。また、観光客にいちご狩りを提供している永塩さんが大切にしているのは、「いかにして30分という限られた時間を満喫していただけるか」ということ。ここでしか味わえない喜びや楽しみを常に考えられています。この思いを軸にディレクションさせていただきました。
いちご狩りは食べるだけでなく、どれくらい食べようか、何と一緒に食べようかなどと思いを巡らせる「食べるまでの時間」も含めて楽しいものではないか。そういった体験をいちご農家である永塩さん自身が伝える。いちご好きのために日々考える。ながしお農場だからこその強みを活かしました。
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